エジソンへの“7分の1”

2024年7月1日

 私を含め、多くの人がエジソンになりたがっている。誰も想像しなかった鉱脈を掘り起こし、今までにない革新を発明したいと思っている。もちろん偉大な発明によって得られる富や名声も魅力的だが、それよりも誰も知らないものを見つける快感が、私たちを惹きつけている。そして私は、その快感をすでに知ってしまっている。新しい発明をしたわけではないが。

小学5年生の頃だったろうか。私は何故か、突然に「発明したい」という衝動に憑りつかれた。そして学校の休み時間に自由帳で計算をしてみた。1/xをx=1,2,3・・・と順に増やして求めていった。(今思えば、こんなので新しく発明ができる訳がない。そんな簡単に発明出来たら世の中みんなエジソンだ)計算機がないので筆算で計算した。

1/1=1
1/2=0.5
1/3=0.333333333333333333333・・・
1/4=0.25
1/5=0.2
1/6=0.16666666666666666666・・・

1/7=0.142857142857142857142857・・・

私はこのとき、まだ複数桁で循環する小数があることを知らなかった。それでこの「142857」の循環を不思議に思って、分子を増やして計算してみた。

2/7=0.285714285714285714285714・・・
3/7=0.428571428571428571428571・・・
4/7=0.571428571428571428571428・・・
5/7=0.714285714285714285714285・・・
6/7=0.857142857142857142857142・・・
 それぞれの循環している部分を取り出すと、
142857, 285714, 428571, 571428, 714285, 857148 となる。
 そこで私は気付いた。
『「1→4→2→8→5→7」の順番をそれぞれの場所から読んだ数が循環している!ということは…2/7は1/7の2倍、3/7は3倍だから…「142857は、2倍、3倍・・・にすると含まれる数字とその順序が同じ数ができる!」』
 そして思った。
『もしかしたらこれは歴史的な大発見なのでは!?』
家に帰ってPCで「142857」と検索した。
・・・・・すぐに「巡回数(ダイヤル数)」のWikipediaが見つかった。
『そりゃそうだよね・・・・・』

この出来事は、私に、世界初の発明をするのは難しいこと、それでも自分にとって初の発見をするのは楽しいことを教えてくれた。

どの分野にせよ、いつか偉大な発明をしよう。それまでは小さな発見を積み重ねていこう。そう思った。

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